価値提供について

早いものでArithmerに入社してから4年と半年近くになります。入社当時エンジニアとしては最年長だったと記憶しています。初めての転職だったこともあり、一から社会人をやり直すくらいの気持ちで入社しました。一方で、いわゆるトップクラスの博士・修士が数学をベースとした最先端技術に取り組む会社ということで、エンジニアとして認めてもらえるだろうかという不安も大きかったです。

ただ、20年(年がバレますが)という前職での実務経験は、創業間もない新しい会社においては必ず何かしらで役に立つだろうという自信もありました。エンジニアとして認められなくても他で自分の価値を示せるだろうとも思っていました。入社最初の挨拶では「自分の価値を示して会社に貢献していきたい」といった趣旨のコメントをしました。

はたして入社してどうだったか。実感したのは、Arithmerにおいてお客様からいただく課題を解決していくには、以下のような自分のスキル・経験が非常に役に立つということです。

その1:かつての第二次AIブームの終焉時期にコンピュータビジョンを学んでおり、(今考えると非常に原始的な)ニューラルネットワークや画像処理などを経験していたこと

その2:入社時はDeep Learning全盛であったものの、課題解決にあたっては理想的なデータなど無いに等しく、Deep Learningに落とし込むにあたってどういうデータにした上でインプットするかが結局重要で、Deep Learningを扱えてもそちらはアイデアが出なかったりする人がいるなか、むしろそういう方が得意であったこと

その3:前職での「研究開発」「製品開発」「PM」「商談支援」といった各5年前後の経験に基づくお客様とのコミュニケーション力や対応能力。またその経験を一貫してソリューション事業中心にしてきたこと

特に、前職で一番長かった「研究開発」期間の中で、自分たちが企画提案し開発した製品を営業と一体となってお客様に説明し、お客様の業務をヒアリングし、それに合わせて製品を改良していくサイクルを回していたことは、入社以降、大きく役立っていると実感しています。

何を武器にするかはもちろん人それぞれ違いますが、自分を取り巻く環境が様々変化していく中で、私が常に意識しているのは、自分がどういう価値をまわりに提供し続けていけるか、です。

特に昨今の生成AIの広がりの中で、「これだけのことができるなら〇〇の仕事は不要になるのでは」といった文脈でAIが語られることも多いですが、漫然と過ごしてしまうとおそらく自分が思っている以上に自分が価値提供できる仕事が減っていく時代だと思います。そういった状況の中で、自分が会社に対して、社会に対してどういう価値を提供できるかということを常に考え、必要があれば学んで自分の価値を大きくしていく必要があります。

これはお客様への価値提供という点でも同じことが言えます(と言うよりむしろこちらの文脈で語られるものだと思います)。技術系の会社にいると、ついつい技術絡みの強みや価値を考えてしまいますが(もちろん一番大事ですが)、技術だけではなく、 例えば 「問い合わせをしたらすぐ対応してくれる」といったサポート力であったり、「相談したらすぐ提案してくれる」といった営業力であったり、こういったことも十分強みとなりうる価値だと考えています。お客様のことをよく理解し、その上でどういったことがお客様にとって「価値」と感じてもらえるか、常によく考えて行動を起こすことが必要です。

会社を成長させていく上で、一人ひとりが持つ力を「価値」に変え、それらを統合して会社の「価値」にし、総合的な力を大きくし続けることでお客様に喜んでいただける価値を提供し続けられるように、日々みんなで頑張っていきたいと考えています。

※仕事目線で記載していますが、家庭でも同じだと思っています。いかに家庭で価値提供するのかも、人生において非常に重要です。