私と銀行とAIの関係

銀行員からAIベンチャーの一員へ

はじめまして。現在、私はArithmerで金融業界に向けたAIプロジェクトを推進しています。今日は、その中でも特に銀行にフォーカスしてお話したいと思います。なぜ銀行なのか?それは、私が元銀行員だからです。
銀行では主に国際ビジネスに携わっていた期間が長く、様々な業界の企業の海外ビジネス展開を支援してきました。
キャリアの終盤には、国際ビジネスから一転、国内の支店経営にも携わる機会がありました。

日本市場は私が携わっていた成長著しいアジア市場とは違い、長引くゼロ金利政策や少子高齢化の影響を受け、銀行はビジネスモデルの転換を図ろうと模索していました。

その中で、AIの活用が銀行業界を変革しうるという論調が高まるにつれ、AI業界でのチャレンジに興味を持ち、Arithmerへの転職を果たしました。

AIベンチャーに転職して感じたこと

銀行員は転勤が多いことで知られていますが、私自身は転勤に加え3度の出向経験もあり、転職に対する抵抗感は特にありませんでした。

実際に、銀行もAIベンチャーも、B to Bビジネスにおいてお客様の様々な課題解決のためにソリューションを提供するという側面では、同じようなビジネスモデルで成り立っていると思います。Arithmerに転職し、これまでの経験を活かしつつ、AIを活用した社会課題解決に携わることにやりがいを感じています。

銀行業界で進むAI活用

前置きが長くなりましたが、AIがどのように銀行業界に関与しうるのかをお話したいと思います。最近では、銀行におけるAI活用に関する報道が後を絶ちません。そもそも銀行を含む金融業界は他業界にない大量のデータを保有していることや定型業務が多いことから、AI活用の余地は十分にあると言われてきました。

例えば、AI-OCRを活用した業務効率化、不正検知AIによる経営リスク削減、金融商品レコメンドAIによる営業活動支援等、その活用可能性は多岐にわたります。特に銀行業界においては、間接コスト削減のための業務効率化が喫緊の経営課題となっています。

AI活用の事例

大量の文書を扱う銀行では、Chat GPTの登場以来、LLM(大規模言語モデル)を活用した業務効率化が急速に進んでいるように感じております。例えば、AIによる稟議書の作成支援がこれに該当します。

銀行ではお客さまから借入の申し出があった際に、担当者が「稟議書」を作成し、行内で複数の階層の決裁を得てはじめて貸出が実行されます。

担当者が与信判断に必要な情報を収集し、それらを分析して稟議書を作成するのですが、担当者の経験やスキルによってその内容に差が生じることは否めません。誤った判断を下すことは許されず、案件によってはかなりの時間とコストを費やし、上司や審査担当部の厳しいチェックが加わります。

しかし、AIを活用することで、担当者の経験やスキルに依存することなく、客観的で正確な稟議書作成と信頼性の高い与信判断をスピーディに行うことが可能になります。

AIが業界に与えるインパクト

銀行内では「人間の業務が奪われてAIにとって代わり、仕事がなくなる」という懸念の声が上がっていたことも事実です。

私自身の経験を踏まえると、AIが人間の仕事を奪うのではなく、業務効率を著しく向上させ、人間はより付加価値の高い仕事に専念できる余地が他業界よりも多いと考えます。

Arithmerの高度数学を活用したAI技術によって、さまざまな課題を解決し、銀行を含む金融業界の発展に貢献できれば幸いです。