トライアスロンと抵抗、流体シミュレーション

40台半ばを迎えた筆者は、運動と言えば突然思い出したように走ってみるジョギング程度でしたが、毎年の人間ドックの結果表でちらほら見かけるようになった「異常」という文字が持つ何とも言えない恐怖に背中を押され、一念発起、トライアスロンを目指してみることにしました。

ラン(ジョギング)はもともとやっていましたが、バイク(自転車)とスイム(水泳)は全くの素人で、半年ほど前に思い切ってロードバイクを購入し、スイミングスクールにも通い始めました。

自転車はママチャリ以外乗ったことがなく、水泳は正真正銘の金槌でしたが、新しいことを始めるとそれまで感じたことのないことに気が付くもので、体を動かす気持ちよさはもちろんですが、ジョギングでは感じたことのない、空気や水の抵抗を初めて感じたのがとても新鮮でした。

ジョギングの時の向かい風はそこまで強く意識する事はありませんでしたが、バイクとスイムは違います。

空気抵抗は速度の2乗に比例するそうで、自転車では時速が15kmhに達すると空気抵抗は走行時のすべての抵抗の50%、40kmhに達すると実に85%が空気抵抗になるそうです。

空気抵抗を減らすため、最近のロードバイクはフレームがカムテール形状という翼断面のような平べったい形状になってきています。

さらにはセーリング効果といってヨットのように横風を推進力に変換する機能をもったフレームやホイールも登場してきています。

より身近なところでは、サイクリストが好んで着用するピタピタのサイクルウェアももちろん空気抵抗の低減を狙ったものです。ちなみに私は恥ずかしくてまだチャレンジできていません。

一方、水泳はというと、スイミングスクールの先生曰く、「水中での抵抗は陸上の800倍」(正確には水の密度が空気の800倍程度)にもなるとのことで、速度こそ遅いものの水の抵抗は空気と比べ物にならないほど大きなものです。

したがって、水泳でも可能な限り抵抗の少ない姿勢・動作が研究されています。

かつて、平泳ぎの北島康介選手がアテネオリンピック(2004年)、北京オリンピック(2008年)で2大会連続金メダルに輝いたことも実はこの抵抗が大きく関係しています。

手で水をかき終えて上体がしっかり伸びきったところでキックを打つことで水の抵抗を最小限に抑える。

当時まだ多くの選手が気付いていなかったキックのタイミングの違いによるわずかな水の抵抗の減少が、決して体格に恵まれていたわけではない北島選手を金メダルに導いたのでした。

空気や水の流れがどのように人や機材、ウェアの周囲を流れるかを解析し、より抵抗の少ない姿勢・動作を導き出すことは、アスリートはもちろん機材やウェアの開発メーカーにとっても非常に重要な課題です。

ロードバイクメーカーであればF1や航空機の開発にも使われる風洞実験施設を使い、多大なコストと膨大な時間を投入して高度なシミュレーションを行っています。

そんな各メーカーが注目する流体のシミュレーションといえばArithmerでも「防災テック」の一環として開発を行っています。

流体シミュレーションにAIを活用することで低コスト・短時間での計算を実現しています。

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個人的には、私が走り、泳ぐ際の実際の空気や水の流れをシミュレーションしてもらいたいものですが、それは技術力の無駄遣いですので、Arithmerとしては経営理念である社会課題の解決に活用しています。河川氾濫時の浸水高予測についてのシミュレーションは、実際に複数のお客様にて既にご活用いただいております。

こちらに挙げたソリューションは、Arithmerの保有する技術のごく一部に過ぎません。Arithmerは社会課題の解決のため、今後も様々なソリューションを提供してまいります。

詳しくはArithmerホームページをご覧ください。